便秘に悩んでいる人って多いですよね。また、「便秘の解消には野菜がいい」というイメージから、野菜をたくさん食べるようにしている人もいるかと思います。でも実際、野菜を食べてもなかなかすぐには改善しませんよね。私も「野菜って食物繊維が多くて便秘によさそう」くらいに思い、日ごろから野菜をたくさん食べるようにしていました。でも、ときどき「効いたかな?」と思うくらいで、それほど大きな効果は感じられないのです。
「どの野菜が便秘に効果があるのか」「どんな食べ方で食べればいいのか」「便秘に効くレシピが知りたい」そう思っている人は、ぜひ読んでください。
目次
はじめに、あなたの便秘タイプを確認しておきましょう
便秘にはいくつかのタイプがあり、どんな野菜が自分の便秘に効くかは、どのタイプの便秘かによって違います。ですので、まずはあなたがどのタイプに当てはまっているか確認しておきましょう。
弛緩性便秘
弛緩性便秘はもっとも多いタイプの便秘です。
胃腸の動きが悪くなったり、腹筋などの筋力が弱ったりすることで、便が腸の中にとどまる時間が長くなります。腸は、便が腸にとどまるあいだ水分を吸収し続けるので、便が固くなり、この便秘になってしまいます。
この便秘になると「お腹がはっているのに排便できない」のような状態になります。
けいれん性便秘
けいれん性便秘はいわゆる過敏性腸症候群です。ストレスや精神不安などが原因で、腸の一部分がけいれんし、狭くなってしまうことで、便がスムーズに動かなくなってしまいます。
この便秘になると急に強い便意や痛みを感じたり、便秘と下痢を繰り返すなどの症状が起きます。
直腸性便秘
この便秘は「スーパー便秘」とも呼ばれ、便意を我慢したり、便秘薬を日常的に使うことで、便意を感じるセンサーが弱くなることで起こってしまいます。こうなると便が直腸に詰まってしまい便秘になってしまいます。
この便秘になると腸の動きは正常なのに、便意を感じられず排便できないという苦しい状態になります。
野菜を食べて、はやく便秘を改善するには・・・
すでに便秘で苦しんでいる時って「とにかく早く効いてほしい!!」というのが正直なところですよね。ということで、くわしい話をする前に、便秘に早く効かせるために意識するべきことを頭に入れておきましょう。
野菜を食べることで、出来るだけ早く便秘を改善したいなら、生で食べられる野菜を積極的に摂りましょう。野菜を熱すると、野菜に含まれる水分やビタミン、酵素の状態が変わってしまい、最大限に効果を得ることができなくなってしまいます。野菜を切ってから洗う時にも、ビタミンなどの栄養素は切り口からどんどん流れ出てしまいます。
ビタミンは、腸内の環境を良くする善玉菌の働きを活発にし、腸内環境を改善してくれます。また、酵素は食べ物の分解や消化吸収をサポートしてくれるのです。
しかし、生野菜ばかり食べているとお腹を冷やしてしまうため、温かい食べ物もバランスよく摂っていきましょう。
とりあえず食物繊維を摂ればいい!!、、、ってホント?
「便秘には食物繊維!!」とよく聞きますが、それは本当なのでしょうか?
1日に必要な食物繊維の量は、最低でも20gとされています。また、私たちが1日に摂取する食物繊維は15gほどなので、平均で約5g不足しているという事になります。
しかし、食物繊維なら何でもいい、ということではありません。じつは、食物繊維にはそれぞれ異なった、便秘に良い働きをする2種類の食物繊維があり、この2種類をバランスよく摂ることがとても重要なのです。多くの食物繊維を摂っていても、逆効果になってしまうことがあるので気を付けなければいけません。
それでは、その2種類の食物繊維とは何なのか、見ていきましょう。
便を柔らかくし、腸内環境を整える水溶性食物繊維
水溶性食物繊維とは、水に溶ける性質のある食物繊維ですが、これは便を覆いこんで柔らかくすることで便をスムーズに動かす働きがあるので、便が固くなってしまっている人や、直腸性便秘の人には特におすすめです。また、腸内の環境を良くしてくれる善玉菌のエサとなり、善玉菌の数を増やしてくれます。
水溶性食物繊維は便秘を改善するだけでなく、コレステロールを減らす、血糖値の上昇をゆるやかにする、満腹感が続くのでダイエットに良い、などの体にうれしい効果もあります。
便を大きくし、腸の動きを活性化させる不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、水溶性食物繊維とは反対で水に溶けない食物繊維なのですが、腸の中で水分を吸収して大きくなることで、便のかさを大きくし、大きくなった便が腸を刺激することで排便をうながす、という効果を持っています。ですので、腸のぜん動運動が弱いために起こる、弛緩性便秘に悩んでいる人や、下痢になりやすいという人にはおすすめです。
これらの働きから不溶性食物繊維は便秘解消にとても役立つのですが、この食物繊維ばかり摂っていると、逆に腸内の水分が吸収され過ぎて、便がカッチコチになり便秘を悪化させてしまうことがあるんです。特にけいれん性便秘や直腸性便秘の人には逆効果になってしまいます。
さらに、不溶性食物繊維は水溶性食物繊維にくらべて多くの野菜に含まれているので注意が必要です。
この2つの食物繊維は、水溶性:不溶性を1:2のバランスで摂ることが理想とされています。「食物繊維を必死で摂っているのに、便秘がどんどんひどくなってる・・・」なんてことにならないように、この割合を意識してバランスよく摂取するようにしましょう。
水溶性食物繊維が多く含まれる野菜
水溶性食物繊維がたくさん含まれる野菜は、不溶性食物繊維に比べて少ないのですが、その中でも日常で使いやすいもの、食物繊維以外の栄養も豊富なものなどを、その野菜100g当たりに含まれる水溶性食物繊維、不溶性食物繊維とともにご紹介します。
ごぼう
ゴボウに含まれる食物繊維量は水溶性2.3g、不溶性3.4g。合計5.7gとかなり多くの食物繊維が多く含まれています。さらにゴボウには美肌効果やむくみをとる働きもあるので、美容に気をつかう女性にはとってもすすすめです。
おくら
オクラには水溶性1.6g、不溶性3.6gの食物繊維が含まれています。ネバネバ系の野菜には水溶性食物繊維がたくさん含まれている場合が多いのですが、オクラもそのうちの一つです。
モロヘイヤ
「野菜の王様」とも呼ばれるモロヘイヤには、水溶性1.3g、不溶性4.6gの食物繊維が含まれておりかなり多めです。また、アンチエイジングや発がん予防に効果的なカロテン、イライラを抑えてくれるカルシウム、胃や腸を保護してくれるムチンなど、栄養が豊富です。モロヘイヤ独特のねばねばが納豆に合うので、私はこの2つを合わせて食べることが多いです。
かぼちゃ
緑黄色野菜の代表格であるかぼちゃには、水溶性0.9g、不溶性2.1gの食物繊維が含まれています。合計2.8gとほうれん草と同率です。かぼちゃに含まれる栄養素は多く、一度にたくさん食べられるのでぜひ使ってみてください。
ニンジン
ニンジンの食物繊維量は水溶性0.7g、不溶性2g。こちらもふだんの食生活にとても取り入れやすい野菜ですよね。ニンジンにはβカロテンという栄養素が豊富に含まれており、アンチエイジングにも効果があります。
水溶性食物繊維は野菜のほかにも、海藻類や納豆に多く含まれているので、そちらも取り入れるとさらに多くの水溶性食物繊維を摂ることができますよ!
不溶性食物繊維が多く含まれる野菜
不溶性食物繊維が多く含まれる野菜を、日常の中で使いやすいもの、食物繊維以外の栄養も豊富なもの、また私が個人的に好きなものなどを、その野菜100g当たりに含まれる水溶性食物繊維、不溶性食物繊維とともにご紹介します。
グリーンピース
グリーンピースに含まれる食物繊維は水溶性0.6g、不溶性7.1g。合計7.7gと食物繊維量がかなり多く、豆ごはんや卵焼きに入れるとおいしいですよね。不溶性の食物繊維がたくさん含まれているので、しっかり噛んで食べるとかなりの満腹感を得ることができます。
パセリ
パセリはメインでたくさんの量を食べることはあまりなく、料理に添えてあるイメージですが、水溶性0.6g、不溶性6.2gとたくさんの食物繊維を含んでいます。今までパセリは残していたという人はぜひ食べてみてくださいね。
えだ豆
えだ豆の食物繊維は水溶性0.4g、不溶性4.6g。おつまみなどとして人気ですが、実は、えだ豆には二日酔いを予防する効果もあるんですよ。
ピーマン
ピーマンに含まれる食物繊維量は水溶性0.6g、不溶性1.7g。これは青ピーマンでも赤ピーマンでもほぼ同じですが、黄色のピーマンは種類が違うので、含まれる栄養素も異なります。
レンコン
レンコンには水溶性0.2g、不溶性1.8gの食物繊維が含まれています。ビタミンや疲労回復効果のある栄養素も含まれているので、私はよくてんぷらや煮物などにして食べています。
キャベツ
キャベツには水溶性0.4g、不溶性1.4g、合計1.8gの食物繊維が含まれています。食生活に取り入れやすい野菜なので、ぜひ使ってみてください。キャベツについてはキャベツで便秘を改善??簡単だけど間違えると危険なキャベツの摂り方にくわしく書いているので見てみてください。
食物繊維を多く含む野菜は他にもたくさん!
上記で紹介した野菜以外にも、食物繊維が多く含まれる野菜はたくさんあります。一度にたくさん使うのは難しい、あまり聞きなじみがないなどの場合もありますが、ぜひ参考にしてみてください。
水溶性食物繊維(100g当たり) | 不溶性食物繊維(100g当たり) | |
らっきょう | 19.0g | 2.4g |
エシャロット | 9.0g | 2.3g |
ニンニク | 3.7g | 2.0g |
ブロッコリー | 0.8g | 2.9g |
ニラ | 0.8g | 3.5g |
ほうれん草 | 0.7g | 2.1g |
玉ねぎ | 0.6g | 1.0g |
小松菜 | 0.6g | 1.8g |
大根 | 0.5g | 0.9g |
大根に含まれる食物繊維は水溶性が0.5g、不溶性が0.9gでしたが、実は、捨てられることも多い大根の葉っぱは水溶性0.8g、不溶性3.2gと意外にもおおくの食物繊維を含んでいます。お味噌汁や炒め物などに使うとおいしいので、「ふだん葉っぱは捨てているなぁ」という人はぜひ使ってみてください。
また、切り干し大根には水溶性3.6g、不溶性17.1gと、かなりの量の食物繊維が含まれているんです。切り干し大根だと生の大根よりもかさが減っているので、たくさんの量を食べやすくおススメです。
オリゴ糖を含む野菜
オリゴ糖も、便秘にはとても効果的な食品です。腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす作用があります。ミネラルの吸収を高め、腸内環境を整え、便秘の改善を促してくれます。
オリゴ糖については便秘改善にはオリゴ糖!!私の慢性便秘を2日間でスッキリ解消した方法に詳しく書いているので見てみてくださいね。
オリゴ糖は、直接オリゴ糖として料理などに使うこともできるのですが、野菜や果物などの食材にも含まれていて、こちらもおすすめです。ということで、オリゴ糖が含まれる野菜と、その野菜100gに含まれるオリゴ糖の量を見ていきましょう。便秘の解消のために必要なオリゴ糖の1日の摂取量は5gほどという事も踏まえて見ていきましょう。
100g当たりに含まれるオリゴ糖 | |
ヤーコン | 8.0g |
甜菜 | 5.0g |
インゲン | 3.7g |
ゴボウ | 3.6g |
エンドウ豆 | 3.1g |
玉ねぎ | 2.8g(約1個分) |
エシャロット | 2.8g |
野菜は水分もたくさん含んでいる
野菜は便秘に良い栄養素をたくさん含んでいることを見ていただきましたが、野菜は水分もたくさん含んでいます。水分が十分にできていないと、固い便が直腸に溜まってしまう直腸性便秘や、腸の運動機能が弱まる弛緩性便秘になりやすくなってしまいます。便がウサギのようにコロコロしていたり、固かったりするのは、水分不足のサインです。そのような場合は水分を含む野菜をたくさん食べ、1日2ℓほどの水分を摂るようにしましょう。
便秘を改善する野菜レシピ
「野菜を食べて、便秘にはやく効かせるなら生野菜!!」と言いましたが、生野菜って思ったよりも一度にたくさんの量を食べられないんですよね。さらに、サラダなどでよく食べられるレタスやキュウリ、トマトなどに含まれる食物繊維はあまり多くありません。
ですので、今回は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく食べられて、簡単にたくさんの量を食べられてしまうレシピをご紹介します!!
野菜スープ
スープは野菜のかさが減って、簡単にたくさんの野菜を食べられるのでおすすめです。また、スープに溶けだした栄養もムダにすることなく食べれるので、とても健康的ですよね。
材料
- ゴボウ
- 玉ネギ
- ニンジン
- キャベツ
- モロヘイヤ
- ブナシメジ、エリンギなどのキノコ
(その他、お好きな野菜を入れるのもおすすめです。)
作り方
- すべての材料を2センチほどの大きさに切る。
- 切った材料を鍋の中に入れ、大さじ1の水を加える。
- 15分間、弱火で蒸し煮にする。
- 15分経ったら、水分を逃さないようにヘラで野菜をまんべんなく混ぜる。
- フタをして5分間蒸し煮にする。
- 水を6カップ、塩を小さじ2ほど加え、下味をつけて中火で加熱する。
- ひと煮立ちしたら、火を止め、コショウを加えて冷ますと完成です。
このままでも食べられますが、ここに手羽先や手羽元を加えて塩で味を整え鶏スープにしてみたり、ベーコンとトマトケチャップを加えてミネストローネ風にしてみるとすごくおいしいです。
オクラと長芋のぶっかけうどん
オクラは水溶性食物繊維が豊富で、腸内の善玉菌を増やします。また、長いもにも似た働きがあり、便秘に効果的で、なおかつ胃腸の保護や消化吸収を助ける働きがあります。
材料
- うどん
- オクラ
- 長いも
(お好みでハムや油揚げなど。)
作り方
- オクラはさっと塩ゆでして小口切りにする。
- 長いもはすりおろしてとろろにし、ハムや油揚げは千切りにする
- ゆでたうどんに材料をのせ、めんつゆをかける
便秘で悩んでいる人は・・・
便秘に悩んでいる人は、直腸性便秘、けいれん性便秘の場合、水溶性食物繊維が多く含まれる野菜、弛緩性便秘の場合は不溶性食物繊維が含まれる野菜を、意識して摂るようにしていきましょう。
私も便秘を改善したときは、野菜スープとオクラと長芋のぶっかけうどんの2つをよく食べていました。その結果、便秘を克服することができました。特に野菜スープは、具材などを気分によって変えることができるので、今でもおなかの調子が悪いときは必ず食べます。
便秘に悩んでいると、下剤は使いたくないし、病院にも何となく行きづらい、でも自分で治すことなんてムリ!どうすればいいんだろう・・・と思ってしまいますよね。でも、私のように産後3年以上便秘だった場合でも、根気強く続けていくうちに、やっと解消することができました。毎日スッキリとお通じが来はじめた時の気持ちは今でも強く覚えています!!
便秘は必ず解消します。あなたが便秘から解放され、毎日快適に軽やかに過ごせることを心から願っています。
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